3Dレーザースキャナーの活用事例12選!多種多様な業界の実例を紹介

3Dレーザースキャナーを現場に導入すると、業務の効率化やコストカットが期待できます。ただ、具体的にどのような場面で活用されているのか、イメージしにくい方は多いでしょう。

そこで本記事では、3Dレーザースキャナーの活用事例を業界別に紹介しています。

あなたが勤めている業界の事例を参考にして、3Dレーザースキャナーの活用をイメージしてみましょう。

目次

3Dレーザースキャナーとは?

3Dレーザースキャナーとは、物体の形状をスキャンして3次元データに変換する機器の総称です。

物体に毎秒数十万〜数百万点のレーザーを照射して、点の集合体としてデータを保存します(点群データ)。点の集まりで物体の形状を表現すると、コンピューター上での操作や分析が可能な「3Dモデル」を作成できます。

3Dレーザースキャナーを利用すれば図面作成や測量、メンテナンス業務の効率化も可能です。

レーザースキャナーについて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

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3Dレーザースキャナーの活用事例

3Dレーザースキャナーの概要を理解しても、自社で利用する風景をイメージできない方が多いと思います。

本記事では、3Dレーザースキャナーが活用された12個の事例を解説しています。

  • 建築
  • 土木
  • 都市開発
  • 防災
  • プラント工場・発電所
  • リバースエンジニアリング
  • 文化財の保護
  • 観光
  • 農業
  • 医療
  • メタバース空間
  • エンターテイメント・メディア業界

自社に導入する際の参考情報として、活用してください。

1.建築

3Dレーザースキャナーは建築分野で活用すると、業務効率化やコスト削減に期待できます。

建築において、3Dレーザースキャナーは以下の業務に活用できます。

  • 古い図面から最新図面へ更新
  • 3Dモデルを見ながら施工計画策定
  • 現場の現況確認
  • 広範囲の測量

従来では複数人で測量を行い、図面の作成や現況の把握などを行っていました。しかし、3Dレーザースキャナーを利用すると、広範囲の測量を高速かつ高精度、少人数で実施できます。

i-Constructionが推進される建築業界において、3Dレーザースキャナーは業務効率化に大きく貢献するでしょう。

3Dレーザースキャナーを建物に使用するケースについては、以下の記事で詳しく解説しています。

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2.土木

3Dレーザースキャナーは、土木工事においても有効活用されています。

土木現場で3Dレーザースキャナーを用いると、鉄筋の寸法計測や出来形管理が効率的に実施できます。

例えば、首都高速道路の出来形管理における事例では、3次元点群データを活用すると、従来の測量に比べて費用と時間が73%削減されました。

また、モバイルマッピングシステム(車両にスキャナーを搭載したシステム)を活用して、交通規制なしで測量を行った事例もあります。

従来の道路測量は交通規制を行うため、時間と労力がかかる一方、3Dレーザースキャナーであれば、短時間かつ効率的に測量を実行できます。

3.都市開発

3Dレーザースキャナーは、都市開発においても活用されています。今回紹介する事例は「愛媛県松山市」において、人流調査のために3Dレーザースキャナーが用いられた事例です。

まちおこしの一環で、松山市は人流調査を必要としていました。ただ、アナログ調査が一般的であったため、歩行者量のデータ取得には限界がありました。

松山市は「LiDAR(ライダー)」と呼ばれる広範囲を高精度でスキャンできる機器を活用。簡易的かつ効率的に歩行者量を取得することに成功しました。

4.防災

防災分野における3Dレーザースキャナーの活用事例として「御堂筋3Dアーカイブプロジェクト」を紹介します。

プロジェクトでは、新型コロナウイルスの影響で街の人口が減少した機会を利用して、梅田駅から難波駅までの約5kmの区間で3次元計測が行われました。

取得された3次元点群データは、3Dで構造物データを扱えるBIMやCIM、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)への応用が可能で、以下の方法でも活用されています。

  • 土木建築分野における施工シミュレーションの作成
  • 3次元モデルを用いたハザードマップや避難シミュレーションの作成
  • 新型コロナウイルスの影響下での新しい観光コンテンツの開発

特に、3Dモデルを使用した避難シミュレーションは、災害時の対応計画立案や住民への教育に役立ちます。

5.プラント工場・発電所

プラント工場や発電所における3Dレーザースキャナーの活用は、施設のメンテナンスと運営の効率化に貢献します。

3Dレーザースキャナーで取得した点群データは、PC上での寸法計測や設備の干渉チェック、CADデータ化などの用途に活用可能です。

例えば、複雑に配置された配管をCADデータ化すると、図面の更新や任意の箇所の寸法確認、新設備との干渉確認を効率的に行えます。

3Dレーザースキャナーは、プラント工場や発電所の保守や管理において、安全性と効率性の向上に貢献する技術といえます。

6.リバースエンジニアリング

リバースエンジニアリングは、既存の製品や試作品からデータを取得し、製造方法や動作原理、設計図などを解析するプロセスです。3Dレーザースキャナーの使用は、従来の方法に比べて効率的かつ詳細なデータ取得を可能とします。

リバースエンジニアリングに3Dレーザースキャナーを利用すると、CADデータへの変換が可能です。CADデータとして扱うと、流動解析や耐熱評価、強度評価などのシミュレーション解析を効率的に実施できます。

また、測定が困難だった断面の非破壊的な測定と解析も可能となり、リバースエンジニアリングの精度と効率が向上します​​。

7.文化財の保護

文化財の保護における3Dレーザースキャナーの活用事例として「国宝・鑑真和上坐像(がんじんわじょうざぞう)」の3Dモデル化を紹介します。

3Dモデル化の目的は、製作から1250年が経過して劣化の激しいオリジナル像をデータ化して、維持管理に活用することでした。

取得したデータは「お身代わり像」の制作現場で利用されたり、保存、修復の現場でも活用されたりしています。さらに、鑑真和上坐像に漆を塗る際の、サイズ変化に対するシミュレーションにも活用されました。

8.観光

広島の平和公園では、デジタルツイン※1を活用した「デジタル3Dコンテンツ in 平和記念公園」というプロジェクトに取り組んでいます。
※1実物のオブジェクトをデジタルで正確に複製したモデル

訪問者は、デジタルツイン空間で広島平和記念公園内を自由に歩き回り、被爆ピアノなどの展示物に関する物語や動画を観賞可能です。

また、修学旅行生や海外観光客が参加する平和学習ツアーと連携しており、インバウンド観光や学生の平和学習にも役立っています​​。

このように、3Dレーザースキャナーの活用は観光コンテンツを充実させて、教育的価値をもつ歴史的な場所の保存と伝承に貢献しています。

9.農業

3Dレーザースキャナーを搭載したUAV(ドローン)やICT(コンピュータを使った情報処理や通信技術)を活用した農業は「スマート農業」と呼ばれています。

農地整備に関するICT施工には、3Dレーザースキャナーを使用した3次元測量が含まれます。3Dレーザースキャナーの活用で、農地の精密な地形測量が実現し、土地利用の最適化や農業機械の正確な制御が可能になるのです。

高齢化や労働力不足の課題に直面する農業分野において、3Dレーザースキャナーは生産性の向上や効率化を実現するための重要な技術といえます。

10.医療

3Dスキャンで体の一部や全身を3Dモデル化することで、医療の効率化が実現できます。

例えば、 義肢装具分野への活用では、体表データの取得やCADソフトによる装具のデザイン、3Dプリンティングによる装具の製造が可能です。

iPadに取り付けて使用できる安価なスキャナーや、スマートフォンの画像を合成して3Dモデル化するアプリも、医療現場で活用されています。

また、3Dレーザースキャナーを用いた短時間の採型で患者の負担を軽減して、義肢装具の精度を高めることで、医療の質に貢献しています。

11.メタバース空間

3Dレーザースキャナーには「大阪ガスビルヂング(建造物)」を3DCG化して、メタバース※2内での多人数コミュニケーション空間を構築した実績もあります。

※2:仮想現実と現実世界が融合したデジタル空間

ユーザーはアバターを介してメタバース空間を自由に移動できて、他のアバターとコミュニケーションも取れます。

メタバースは、世界的に普及しているとはいえませんが、ゲームや社内コミュニケーションツールなどへの活用が広がりつつある技術です。

今後さらにメタバースが普及すれば、3Dレーザースキャナーとの併用による新しいビジネスチャンスが生み出されるかもしれません。

12.エンターテイメント・メディア業界

エンターテイメント・メディア業界では、3Dレーザースキャナーの技術がフィギュア製作やアート制作、CG制作の分野で活用されています。

活用分野活用方法
フィギュア製作実物から取得した3Dデータからフィギュアを製作する
アート制作実物から取得した3Dデータを基に、新しいアート作品を制作する
CG制作人物や物体のモデリングにより、リアリティの高いビジュアル表現ができる

エンターテイメント・メディア業界では、実物から得られた3Dデータを活用できるため、作品のリアリティや質の向上に貢献します。

3Dレーザースキャナーは建設現場や都市開発だけでなく、クリエイティブな作業においても活用されているのです。

3Dレーザースキャナーなら「FARO Focus Premium」

出典:FARO社公式ホームページ

クモノスコーポレーションでは、FARO社製の3Dレーザースキャナー「FARO Focus Premium」を取り扱っています。

FARO Focus Premiumは3Dレーザースキャナーとして、以下の特徴をもっています。

特徴説明
高精度と高速性の両立できる建造物などレーザースキャナの使用頻度が高く、比較的短距離において高精度
軽量・コンパクトであるコンパクトサイズで重量は4.4kg。移動や作業負担を大きく軽減可能
計測モードが豊富である品質設定を瞬時に切替可能であるため、計測対象に応じて品質とのバランスをとりながら計測時間の短縮が可能
カラー情報の取得能力が高い薄暗い環境が多い建築現場や屋内の文化財計測などでも、鮮明なカラー点群データを取得可能
クラウドサービスを提供している1アカウント20GBのクラウドストレージサービスが無償提供される。Wi-Fiがあれば現場でのデータ取得と同時に、別の場所で編集が可能
メーカー保証がついている購入後2年間のメーカー保証付

FARO Focus Premiumは「フェイズシフト方式」と呼ばれる方式を採用しており、高精度かつ高速の3Dスキャンが可能です。10m〜25mの範囲では±1mmの誤差範囲で活用できるため、ミリ単位の作業が求められる現場でも利用できます。

3Dレーザースキャナーを活用したい方は、ぜひFARO Focus Premiumを検討してみてください。

フェイズシフト方式について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

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3Dレーザースキャナーに関するよくある質問

最後に3Dレーザースキャナーに関する以下2つの質問に回答していきます。

  • 点群データはCAD化できますか?
  • 3Dレーザースキャナーにはどんな種類がありますか?

点群データはCAD化できますか?

点群データのCAD化は可能で、以下の手順で行います。

  1. 点群データのノイズ除去・位置合わせ
  2. メッシュデータへ変換
  3. メッシュデータからサーフェス面を作成
  4. CADで読み込み

点群データをCADで読み込めるようになると、設計や施工管理、シミュレーションに生かせます。

点群データの概要や使い方については、以下の記事で詳しく解説しています。

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3Dレーザースキャナーにはどんな種類がありますか?

3Dレーザースキャナーには、主に以下の4種類があります。

  • 地上型3Dレーザー(TLS)
  • UAVレーザー(ULS)
  • 航空レーザー(ALS)
  • 車載型レーザー/モバイルマッピングシステム(MMS)

測量では固定式のTLSやUAV、街の外観をスキャンする際はMMSを使用するなど、スキャン対象によって種類が変わります。

現場に3Dレーザースキャナーを導入する際も、使用用途によってどの機器を選ぶか考えましょう。

3Dレーザースキャナーを活用して業務を効率化しよう

3Dレーザースキャナーは多種多様な業界で使用されており、業務効率化やコスト削減に貢献するデバイスです。

本記事で紹介しただけでも12種類の活用事例があります。ただ、紹介した事例はほんの一部であり、3Dレーザースキャナーはさらに多くの場面で活用されています。

3Dレーザースキャナーの導入を検討している方には、建設やプラント、公共施設など多数の実績をもつ「FARO Focus Premium」がおすすめです。ぜひ現場への導入をご検討ください。

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