3Dレーザースキャナーは建物・建築で大活躍!利点や活用事例を解説

3Dレーザースキャナーは、建築現場での調査を効率化したり、着工前のシミュレーションを実施したりするときに便利です。

対象物への照射でデータを取得でき、手作業での計測に比べて、効率や精度を大幅に向上できます。

本記事では、建物・建築に3Dレーザースキャナーを活用する利点や事例を解説します。現場に使用する3Dレーザースキャナーの選び方も説明しているため、あわせて参考にしてください。

目次

建物・建築に3Dレーザースキャナーを活用する4つの利点

建物・建築に3Dレーザースキャナーを導入すると、以下のような効果を期待できます。

・現場調査の効率が高まる
・現場調査のコストを削減できる
・現場調査の安全を確保できる
・計測や図面化の精度を向上できる

手作業での測定に比べて、効率やコストなどさまざまなメリットを期待できるため、ぜひ3Dレーザースキャナーの活用を検討してください。

現場調査の効率が高まる

現場調査を手作業で行う場合は、規模が大きいと手間や人員を多く要しますが、3Dレーザースキャナーであれば大幅に効率を改善できます。

たとえば、設置型の3Dレーザースキャナーで対象の建物をスキャンすれば、最低限の労力や人員で測量を完了できる場合が大半です。

これまで手作業で現場調査に多くの時間や人員をかけていた場合には、スピードや効率が改善され、スピーディーな調査を実現できるでしょう。

また、現場調査の内容を詳細にまとめるステップでも、3Dレーザースキャナーで取得したデータを活用できます。社内はもちろん、クライアントとのやり取りも簡略化でき、プロジェクトを円滑に進行できるでしょう。

現場調査のコストを削減できる

現場調査に多くの人員や時間を確保した場合はコストも増えやすくなりますが、3Dレーザースキャナーによる効率化でコスト削減を期待できます。

たとえば、10人で数ヶ月かけていた現場調査を、3Dレーザースキャナーの活用によって2人で数日以内に終えられれば、コストパフォーマンスが高くなります。

現場調査のために確保する人員や費用などのコストで悩んでいる場合に、3Dレーザースキャナーの導入が課題解決につながるでしょう。

現場調査の安全を確保できる

現場調査では、建物の中で危険性のある箇所に近づかなければいけない場合がありますが、3Dレーザースキャナーを利用すれば安全面にも配慮できます。

3Dレーザースキャナーは対象物に触れる必要がなく、範囲内であれば遠隔でも計測できるため、危険な場所に立ち入る必要がありません。

製品の中には幅広い温度帯に対応していたり、防塵・防滴性能を備えていたりするため、長時間作業できない場所でも計測を行えます。

計測や図面化の精度を向上できる

測量後に寸法を計測したり、図面に起こしたりするステップも、3Dレーザースキャナーで正確性や効率を高められます。

3Dレーザースキャナーは広範囲のデータを正確に取得でき、ソフトを活用した3Dモデル化で実物に近い建物のイメージを作成できるのが特徴です。

また、手作業では測量漏れで再調査が必要になる場合もありますが、3Dレーザースキャナーは計測漏れのリスクが少なく、1度の調査で正確な測量ができます。

建物・建築に対する3Dレーザースキャナー活用事例

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建物・建築に3Dレーザースキャナーを活用した事例は多くあり、さまざまなシーンで活躍しています。

ここで紹介する事例は、以下の4つです。

・現場調査
・着工前のシミュレーション
・保守点検
・建築文化財のデータ保存

建設現場の幅広い場面で活用できるため、自社での利用シーンを思い浮かべながら事例を確認しましょう。

kumonos
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現場調査

現場調査では建物の外観はもちろん、機器や配管などがある内部を測定する場合も多いため、複雑な箇所も正確に計測できる3Dレーザースキャナーが活躍しています。

立ち入りが難しい場所や距離が離れている天井の高さなど、さまざまな箇所を測定できるのが活用される理由のひとつです。

人が住んでいたり、従業員が稼働していたりする建物でも使いやすく、生活や作業を邪魔せずに短時間で計測が完了できます。

当社が計測サービスを実施した事例では、設備増設に伴って内配管の現状把握のために3Dレーザースキャナーを活用しました。配管が入り組んだ箇所が多かったため、位置を変えながら計測を繰り返し、あらゆる方向・角度から現状を確認できる3Dデータを作成しています。

事例:設備増設に伴う内配管の現状把握|クモノスコーポレーション

着工前のシミュレーション

建物の建設に着工する前に、足場の設営や重機の搬入などをシミュレーションするために3Dレーザースキャナーが活用されています。

建物の周囲や内部などを3Dレーザースキャナーでモデル化し、リアルに近い条件で精度の高い着工前のシミュレーションを実施可能です。

また、建物と周囲を3Dレーザースキャナーで計測し、災害時のシミュレーションを行う事例もあり、避難計画やシミュレーションデータの蓄積に役立てられています。

当社では、景観や災害のシミュレーションなどのために、大阪駅の周辺地域を3Dレーザースキャナーで計測しました。シミュレーション以外にも、取得した3DデータはVRやARとの連携といった場面で活用されています。

事例:大阪駅周辺の地上・地下空間|クモノスコーポレーション

保守点検

道路や橋梁などのインフラ設備では、日々安全に利用できるように保守点検が実施されています。

車両や電車などが稼働している状態での調査は難しいですが、3Dレーザースキャナーを活用すれば、設備の現状把握が可能です。

3Dレーザースキャナーで取得したデータを3Dモデルに変換すれば、モデル化した設備を確認し、点検の計画や点検履歴の管理などを行いやすくなります。

当社では、トンネルの保守点検として、独自のひび割れ計測システムと3Dレーザースキャナーを組み合わせて使用することで、交通を止めることなく、トンネルのひび割れ個所や範囲を把握したり、トンネルの内空断面の計測を実施しました。

事例:トンネルのひび割れ計測と補修後の経年計測|クモノスコーポレーション

建築文化財のデータ保存

建築文化財は、長年の経年劣化で状態が損なわれる場合があります。文化財の修繕や継承のためにデータ保存する取り組みがあり、データの取得に3Dレーザースキャナーが活躍しています。

3Dレーザースキャナーで建築文化財をデータで取得すれば、デジタルアーカイブとして保存が可能です。

3Dモデルを元に修繕や運用を行えば文化財を長く維持でき、万が一修繕できない状態になってもデータで後世に伝えられます。

当社は、経済産業省の補助金事業「飛び出せJapan!」に採択され、ネパール・カトマンズの世界遺産区域で、3Dレーザースキャナーを活用した計測を実施しました。

ネパール地震で被害を受け、車両や上空からの調査が難しい区域で計測を行い、計測データが復興に役立てられています。

事例:ネパール・カトマンズの世界遺産区域|クモノスコーポレーション

建物・建築に使用する3Dレーザースキャナーの選び方

3Dレーザースキャナーにはさまざまな種類があり、建物・建築と相性が悪い製品を選ぶと最大限に活用できなくなるため、自社に合った製品を選ぶことが大切です。

建物・建築に使用する3Dレーザースキャナーの選び方として、以下の5点に注目しましょう。

・広範囲の計測に適した方式か
・十分な精度を備えているか
・効率よく計測できる速度か
・さまざまな環境で使用できるか
・データの共有をスムーズにできるか

自社で重視したいポイントを明確に定め、条件を満たした3Dレーザースキャナーを選びましょう。

広範囲の計測に適した方式か

建物の測量は調査範囲が広いため、広範囲をスキャンできる3Dレーザースキャナーが適しています。

3Dレーザースキャナーの方式は接触式と非接触式に大きく分けられ、建物に適しているのは非接触式です。対象物に照射したレーザーの反射を活用し、対象物に触れなくても形状データを取得できます。

非接触式の3Dレーザースキャナーは、3つの方式に細分化されているため、特徴を理解して製品を選びましょう。

方式特徴
位相差方式波長の異なる複数のレーザーを対象物に照射し、拡散反射した光の位相差から対象物までの距離を測定する方式
タイムオブフライト方式多方向に照射したレーザーが反射し、スキャナーに返るまでの時間から座標を取得する方式
フォトグラメトリー方式複数の写真を撮影し、視差から座標を取得する方式

以下の記事では位相差方式(フェイズシフト方式)について解説しているため、方式を詳しく知りたい方はぜひ参考にしてください。

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フェイズシフト方式とは?仕組みやメリット・デメリットを解説 | kumonos 本記事では3Dレーダースキャナー技術のひとつである、フェイズシフト方式について解説します。測定の原理やメリット・デメリット、活用事例などを解説していますので、導入...

十分な精度を備えているか

建物を正しく測量するためには、実物との差が少ない高精度な3Dレーザースキャナーを選ぶ必要があります。

精度を確認するときは、センサーの性能やカメラの解像度などに注目しましょう。複数のセンサーで対象物を感知したり、豊富なピクセルでデータを表現できたりすると、精度の高いデータを取得できます。

精度の低い3Dレーザースキャナーを選ぶと、品質の低いデータになりやすく、再計測の手間がかかるため、精度は非常に重要です。

3Dレーザースキャナーの精度は以下の記事で詳しく解説しているため、あわせて参考にしてください。

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3Dレーザースキャナーの精度は信頼できる?数字を見るときの注意点も解説 | kumonos 本記事では、3Dレーザースキャナーの精度について、FARO社製の機器を例にして解説しています。また、カタログで精度を確認する際の注意点も解説していますので、導入する前...

効率よく計測できる速度か

3Dレーザースキャナーで効率よく建物を計測するためには、スキャン速度も重要です。1スキャンあたりの時間が短いほどスピーディーな計測ができます。

建物の計測は範囲が広いため、効率的な作業のために、すばやくスキャンできる3Dレーザースキャナーを選びましょう。

また、スキャンしたデータを図面や3Dモデルに変換する効率も大切です。ソフトと連携でき、簡単な操作でデータを編集できると、データの取得からモデル化までスムーズに進められます。

さまざまな環境で使用できるか

建物がある環境はさまざまであるため、自社で作業することの多い環境で使用できるかを確認しましょう。

たとえば、年中計測する場面がある場合は、暑い時期や寒い時期に対応できるように、対応温度帯が幅広い3Dレーザースキャナーが適しています。

土や水などの多い環境で作業する機会が多い場合は、防塵・防滴性能をもつ3Dレーザースキャナーがおすすめです。

データの共有をスムーズにできるか

3Dレーザースキャナーで取得したデータのチェックや修正をスムーズに行えるように、データ共有の方法を確認しましょう。

専用のアプリケーションやクラウドサービスに対応していると、取得したデータをリアルタイムで遠隔地に共有できます。

現地でフィードバックを受けられるため、不足箇所の再計測やクライアントとのすり合わせなどがスムーズです。

建物・建築に便利な3Dレーザースキャナー「FARO FOCUS PREMIUM」とは

建物・建築に活用する3Dレーザースキャナー選びで悩んでいる方には、「FARO FOCUS PREMIUM」がおすすめです。

高精度なスキャン機能を備えながら、さまざまな環境に対応しているため、屋外作業が多い建設・建築現場で幅広く活躍しています。

ここからは「FARO FOCUS PREMIUM」の特徴を解説するため、ぜひ建物・建築に活用する3Dレーザースキャナーとしてご検討ください。

代表的な特徴

特長・最大350mの広範囲スキャンに対応
・最新カラーカメラ技術で最大266メガピクセルのカラー情報をもつスキャンを実現
・高速SSDデータストレージの統合で、最大限のスキャン容量と超高速スキャン処理を実現
・アプリ・本体どちらからでもスキャナー制御を実行可能
・プロジェクトの作成やスキャナー設定の変更などを簡単に実行可能
価格※Focus Premium 3501000万円~
性能※Focus Premium 350・明瞭識別距離最大500,000点/秒 @ 614m1,000,000点/秒 @ 307m2,000,000点/秒 @ 153m
・計測範囲ホワイト、反射率90% 0.5 – 350 mダークグレー、反射率10% 0.5 – 150 mブラック、反射率2% 0.5 – 50 m
・範囲ノイズホワイト、反射率90% 0.1 mm @ 10m、0.2 mm @ 25 mダークグレー、反射率10% 0.3 mm @ 10m、0.4 mm @ 25 mブラック、反射率2% 0.7 mm @ 10m、1.2 mm @ 25 m
・速度 最大2,000,000点/秒・3D精度 2mm @ 10m、3.5mm @ 25m・範囲誤差 ±1mm・角度精度 19秒角・LaserHDR あり・温度範囲 動作時+5℃~+40℃、延長動作-10℃~+55℃、保存-10℃~+60℃

「FARO FOCUS PREMIUM」の代表的な特徴は、以下の3つです。

・精度とスピードを両立した高性能なスキャン機能
・明暗・温度・水などの外部環境に影響されない万能性
・アプリやクラウドを活用したスムーズなデータ共有

「FARO FOCUS PREMIUM」は、1スキャンあたり最大1分の高速スキャンを実現しています。スキャン効率に加えてスキャンの解像度も高く、266メガピクセルの美しいスキャンデータを取得可能です。

また、動作温度範囲が広いため、暑い場所でも寒い場所でも使用できます。明暗の差を補正するHDRカメラやIP54規格の防塵・防滴性能で、あらゆる環境に対応できるのが魅力です。

「FARO FOCUS PREMIUM」でスキャンしたデータは、アプリケーションやクラウドサービスで即座に共有できます。現場にいながら担当者のチェックやフィードバックを受けられ、より正確かつ効率的な業務を実現できるでしょう。

販売価格

「FARO FOCUS PREMIUM」の機種別の販売価格は、以下の通りです。

機種価格
Focus Core 70500万円~
Focus Premium 70700万円~
Focus Premium 150850万円~
Focus Premium 3501,000万円~

機種によって購入価格が変わるため、求める性能や目的などに応じて、最適な製品をお選びください。製品の詳細は以下のページにまとめているため、あらかじめ確認しましょう。

「FARO FOCUS PREMIUM」の製品ページはこちら

3Dレーザースキャナーを建物や建築に活用しよう

建物や建築に3Dレーザースキャナーを活用すると、現場調査の効率アップやコスト削減などの効果を期待できます。

現場調査以外にも、着工前のシミュレーションといったさまざまな場面で活用でき、正確で安全な業務の実現に活躍するツールです。

より3Dレーザースキャナーの効果を実感するためには、用途や条件にあった製品を選びましょう。精度や速度などを検討することで、スキャンの精度や効率を高められます。

当社では、アメリカ・FARO社の3Dレーザースキャナーを取り扱っております。「FARO FOCUS PREMIUM」はあらゆる環境で使用でき、ハイクオリティなスキャン性能も兼ね備えているので、建物・建築に活用する製品を探している方は、まずは気軽にご相談ください。

「FARO FOCUS PREMIUM」の製品ページはこちら

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