「業務用3Dスキャナーにはどんな種類がある?」「業務用3Dスキャナーの選び方は?」と考えていませんか?
業務用3Dスキャナーは、使用目的や対象物によって必要となるスペックが異なります。業務用3Dスキャナーは、精度やスキャン範囲、価格などを考慮して選びましょう。
本記事では、業務用3Dスキャナーの特徴や種類について解説します。選び方や活用事例、おすすめ機種についてもまとめているので、ぜひ参考にしてください。
業務用3Dスキャナーの特徴
業務用3Dスキャナーは物体の形状やサイズを高精度に測定し、デジタルデータとして取得するための装置です。
複雑な形状や大きなオブジェクトも高精度でデジタル化できるため、製品開発工程の効率化などに貢献します。
なかにはカラースキャン機能を備えたモデルもあり、色情報を含むリアルな3Dデータの作成も可能です。
業務用3Dスキャナーの活用用途
業務用3Dスキャナーは、幅広い用途で活用されています。
- 製品設計
- 品質管理
- 3Dプリンティング
- 歴史的建造物の保存
- 測量
たとえば、建築分野では既存建物の正確な3Dモデリングや施工進捗のモニタリング、維持管理の効率化に利用されています。
業務用3Dスキャナーで得た高精度なデータは正確な分析や評価を可能とするため、プロジェクトの品質改善にも効果的です。
個人向け3Dスキャナーとの精度の違い
業務用と個人向け3Dスキャナーの最大の違いは、測定の精度にあります。業務用3Dスキャナーは、数ミクロン単位の高精度測定が可能で、複雑な形状や細部まで忠実にデジタル化が可能です。
個人向けの場合、物体の形状やサイズを細かく測定するには限界があるため、製品設計や品質管理など「ビジネス」として用いる場面に適していません。
業務用では製品の設計や品質検査など「精度」が求められるため、発生する費用も個人向けと比べて高価になります。
業務用3Dスキャナーの種類
業務用3Dスキャナーは、使用目的や対象物に合わせて種類を選択するのが得策です。
精度やスキャン速度、使用環境など、プロジェクトのニーズに最適なスキャナーを選択しましょう。ここでは、接触式と非接触式スキャナーの特徴について解説します。
接触式スキャナー(三次元測定機)
接触式スキャナーは、産業用測定器として使用されている古くからあるもので、非接触では計測しにくい内側へ複雑に入り組んだ形状の工業製品などの品質検査や部品の設計に適しています。
接触式スキャナーの利点は、スキャナーの接触により対象物を確実に測定できる点です。
一方で、測定に時間がかかる点や、やわらかい素材や繊細な対象物に適用できない点が欠点として挙げられます。
非接触式スキャナー
非接触式スキャナーはレーザーやX線で対象物からの距離を測定し、3Dデータを生成するタイプのスキャナーです。
対象物に物理的な影響を与えずに測定できるため、文化財やアート作品、生物学的標本など繊細な対象物の3Dデジタル化に適しています。
高速かつ広範囲のスキャンが可能で、大規模な建築物や施設の3Dモデリングにも用いられます。
ただ、透明や反射する素材のスキャンには限界があるため、使用する際には対象物の材質を考慮しましょう。
業務用3Dスキャナーの価格相場
業務用3Dスキャナーの価格は性能や精度、スキャン範囲によって大きく異なります。相場は「300万円〜」ですが、商品によっては1,000万円以上の場合もある高価な機器です。
たとえば、3Dスキャナー「FARO Focus Premium」も価格は「700万円〜」と高額ですが、一般用に比べて性能が高いです。精密機器や建物などの対象物を高速・高精度でスキャンでき、データ管理の効率化を実現します。
スキャン精度の求められる機会が多い場合は、業務用・工業用のスキャナーを活用してみましょう。
業務用3Dスキャナーの活用事例
業務用3Dスキャナーは製造業から文化遺産保護まで、さまざまな分野で価値を発揮しています。ここでは、業務用3Dスキャナーの活用事例を紹介します。
- 工場内部の計測による製造機器の効率的配置
- 迅速なデータ処理による分析と安全性の向上
工場内部の計測による製造機器の効率的配置
工場内での業務用3Dスキャナーの活用は、製造ラインの「最適化」と「効率化」に貢献します。
たとえば、工場内の空間を正確にスキャンすると、製造機器や設備をより効率的に配置するためのデータを取得可能です。
機器や設備の配置を変えると、作業フローの改善や生産性の向上、安全性の確保につながります。3Dデータを基にシミュレーションを行うと、配置変更前の効果も予測できます。
迅速なデータ処理による分析と安全性の向上
業務用3Dスキャナーから得られる詳細なデータを活用すると、迅速なデータ処理と分析を可能にします。また、製造の最適化だけでなく、作業環境の安全性向上にも寄与します。
たとえば、工場内の危険エリアを3Dスキャンし、リスクを評価すると事故発生時の原因分析も可能です。
3Dスキャン技術を活用すると、製造現場の安全性を高められるため、安全かつ効率的な作業環境が実現します。
業務用3Dスキャナーの選び方
業務用3Dスキャナーの購入で失敗しないためにも、目的や用途に合わせて機種を選択しましょう。
ここからは、業務用3Dスキャナーを購入する際の選び方を紹介します。
- スキャン精度
- 測定速度
- スキャン範囲
- カラースキャン機能
- サポート体制
スキャン精度
スキャン精度は、3Dスキャナーがどれだけ細かく情報を読み取れるかを示す指標です。高精度のスキャナーは微細な質感や複雑な形状も正確にデジタル化できるため、製品の設計や品質検査において重要です。
精度の高いスキャナーを選ぶと、製品の再現性を高めつつ設計ミスを抑えられるため、製造プロセス全体の効率向上につながります。
一方で、精度が高くなるほど価格も高くなる傾向にあるため、プロジェクトの予算と要件を考慮して選びましょう。
測定速度
測定速度は、3Dスキャナーがどれだけ迅速にデータを収集できるかを示す指標です。時間が制約されるプロジェクトや大量の測定物をスキャンする際に、高速スキャナーが求められます。
高速スキャナーを使用すると、プロジェクトの作業時間が短縮するため、効率的な作業を実現可能です。建築や土木工事の現場での使用、大規模な施設の3Dモデリングなどでは、測定速度がプロジェクトの成功に直結します。
ただ、測定速度が速くなるほど、精度が低下する恐れもあります。精度と速度のバランスを考慮しましょう。
スキャン範囲
スキャン範囲は、3Dスキャナーが一度に捉えられる空間の大きさを指します。範囲が広いほど、大きな測定物も一度にスキャンできるため、作業の効率が大幅に向上します。
たとえば、建築物や大型機械を活用する大規模なプロジェクトにおいては、広範囲をカバーできるスキャナーが必要不可欠です。
ただし、スキャン範囲が広いスキャナーほど価格も高くなる傾向にあるため、プロジェクトの要件と予算に合った機器を選びましょう。
カラースキャン機能
カラースキャン機能を備えた3Dスキャナーはオブジェクトの形状だけでなく、色情報も同時に捉えられます。アート作品や文化財のデジタルアーカイブなど、色彩を重視するプロジェクトにおいて価値がある機能です。
カラースキャンによって、よりリアリティのある3Dデータの生成が可能になり、最終的な成果物の質を高められます。
ただし、コストが高くなる傾向にあるため、プロジェクトで色情報が重要な要素であるかを考慮して選択しましょう。
サポート体制
3Dスキャナーを選択する際は、製品の性能や機能だけでなく、サポート体制が整っているかも確認しましょう。
とくに、高価な業務用3Dスキャナーを扱う場合は、機器のトラブルや操作方法に関する疑問を迅速に解決する「サポート力」が求められます。
充実したサポート体制が整っているメーカーは、技術的な問題が発生した際に迅速な対応をしてくれるため、長期的なサポートを実現します。
購入前にはメーカーのサポート体制の詳細(アフターサービスや対応の質)を確認しましょう。
作業効率を高めるおすすめ業務用3Dスキャナー3選
業務用3Dスキャナーを活用すると、物体の形状やサイズを高精度に測定し、製品開発工程の効率化に貢献します。
本記事では、作業効率を高めるおすすめの3Dスキャナー(Faro社製品)の例をご紹介します。
- Focus Premium
- FARO Orbis
- Quantum MAX
クモノスコーポレーションでは、お客様のご要望に合わせた最適な「業務用3Dスキャナー」を提供しています。
「業務用3Dスキャナーを検討しているけど、自社に合った機器を選べない」とお困りの方は、ぜひ一度当社にご相談ください。
Focus Premium
Focus Premiumは「フェイズシフト方式」と呼ばれる方式を採用した、高い精度と信頼性を誇るFARO社の最新レーザースキャナーです。建設や製造、医療業界など、多岐にわたる現場にて活用されています。
最大350mのスキャン範囲に加えて、スマートフォンを使用した「リモートコントロール機能」も備えています。Wi-Fiネットワークの範囲内ならどこからでも操作可能で、より安定した高速Wi-Fi操作が実現可能です。
重量は4.4kgと軽くコンパクトサイズであるため、他の商品と比べて移動や作業時の負担を軽減できます。
FARO Orbis
FARO Orbisは、コンパクトタイプのハンディ型3Dレーザースキャナーです。Orbisはヒューマンエラーを削減し、全体的な作業効率の向上に貢献します。
GeoSLAM社独自のSLAMアルゴリズムを活用し、高精度の成果物を迅速に提供します。
固定スキャンとモバイルスキャン機能の両方が備わっており、場所を問わず高品質な計測が可能です。
Quantum MAX
Quantum Maxは、品質管理と検査の改善を実行する非接触式の座標測定機(CMMアーム)です。精密な測定を必要とする複雑な部品や工具、型などの測定をすばやく実行します。
工場内や製造現場などの作業環境で一貫性のある測定が可能なため、ソフトウェアへの統合も簡単です。
FARO社の中でも最大の解像度と測定精度を誇るため、複雑な3D検査や迅速な故障点検、根本原因分析も可能です。
他のFARO製品について気になる方は、以下の記事も参考にしてみてください。
業務用3Dスキャナーを使用する際の注意点
高価な業務用3Dスキャナーを導入する場合、注意するべき点が存在します。
スキャナーの購入で失敗しないためにも、使用する前に以下の点に注意しましょう。
- 測定方法や種類ごとに精度や速度が異なる
- 適切な測定ソフトウェアにてデータ処理を行う
- 導入にはコストがかかる
測定方法や種類ごとに精度や速度が異なる
業務用3Dスキャナーは接触式・非接触式の2種類があり、精度やスキャン速度が異なるため、製品を選ぶ際に注意しましょう。
たとえば、対象物に接触しながらスキャンする接触式は、品質管理や精密な計測を実施したい場合に適しています。
一方、広い範囲をすばやく計測できる非接触式は、レーザーや光を利用して対象物をスキャンするため、大規模な建築物の測定や測量に向いています。
プロジェクトの具体的な要件にもとづいて、適切なスキャナーを選択しましょう。
適切な測定ソフトウェアにてデータ処理を行う
3Dスキャナーから得られるデータは、そのまま使用できない場合が多く、適切なソフトウェアによるデータ処理が必要です。使用するソフトウェアは、スキャナーの種類やプロジェクトの要件によって異なります。
精度の高い3Dモデルを生成するためには、高機能なソフトウェアが必須です。プロジェクトをスムーズに進めるためにも、スキャナーと互換性のあるソフトウェアを選択しましょう。
導入にはコストがかかる
業務用3Dスキャナーを導入する際には、購入コストだけでなく運用コストも含めた総費用を計算してから選びましょう。
高性能なスキャナーは機器自体が高価であるのはもちろん、ソフトウェアのライセンス料や定期的なメンテナンス、操作研修のコストなどの追加費用も発生します。
業務用3Dスキャナーを購入する際は、機器価格だけでなく追加費用も考慮しましょう。
業務用3Dスキャナーを活用して時間効率を上げよう
業務用3Dスキャナーの活用は、製品開発や品質保証など、多岐にわたる分野で作業効率の向上につながります。
複雑な機械部品の寸法を測定する場合、業務用3Dスキャナーなら数分で完了するため、作業の効率化が実現可能です。
業務用3Dスキャナーは機器自体が数百万と高価なうえ、ソフトウェアのライセンスや講習などの追加費用も発生します。
自社の使用用途と予算をあらかじめ把握したうえで、本記事で紹介した業務用3Dスキャナーの導入を検討してみましょう。