FARO社製・3Dレーザースキャナの特徴とは?価格帯や注意点を紹介!

「FARO社製の3Dレーザースキャナの特徴は?」「価格帯や購入後の注意点は?」と気になっていませんか?

FARO社製の3Dレーザースキャナは、高精度なスキャンデータを高速で取得できます。カスタマイズ機能が豊富で軽量かつコンパクトなため、現場への持ち運びも可能です。

本記事では、FARO社製の3Dレーザースキャナの特徴や価格帯を解説します。導入事例や使用時の注意点もまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

FARO社製・3Dレーザースキャナの特徴

FARO社製の3Dレーザースキャナは、高精度なスキャンデータを高速で取得できるスキャナーです。特徴をまとめると以下の通りです。

・高精度なスキャンデータを高速で取得できる
・軽量かつコンパクトで作業現場への持ち運びがしやすい
・カスタマイズ機能が豊富で拡張性が高い
・使いやすいタッチスクリーンで簡単に操作できる
・広範囲での温度環境で使用できる

それぞれ詳しく解説します。

高精度なスキャンデータを高速で取得できる

FARO社が出す3Dレーザースキャナの解像度は、10m先で最短1.2㎜ピッチと非常に高精度です。スキャン速度は1秒間に最大200万点まで取得でき、複雑な形状の対象物でも、高精度なスキャンデータを高速で読み取ることが可能です。​​

Focus Laser Scannerはレーザーパルスを対象物に照射し、反射したレーザーの位相差から3Dデータを生成します。レーザーパルスは1秒間に数万回から数十万回照射され、反射したレーザーの位相差から対象物までの距離を算出し、レーザースキャナの角度情報と合わせてレーザーが照射された1点1点の3次元座標を取得します。

軽量かつコンパクトで作業現場への持ち運びがしやすい

FARO社製の3Dレーザースキャナは、軽量でコンパクトな設計になっています。スキャナの重量は4.4kgほどと作業現場への持ち運びも容易で、さまざまな場所でのスキャンが可能です。

屋外用途に最適であり、スキャンデータに鮮明なカラー情報を付与できます。また、迅速かつ容易に対象物や建築物の超高精度測定を行うため、大変便利です。

カスタマイズ機能が豊富で拡張性が高い

FARO Focus 3DレーザースキャナのモデルはPremiumとCoreの2種類があり、Premiumは最大計測可能半径が70m・150m・350mの3つです。用途に応じて最適な機種を選定できるだけでなく、独自のカスタマイズ機能によってさまざまなニーズに対応します。

たとえば、スキャナのPremiumシリーズにある内蔵アクセサリベイを使用すると、新しいセンサーやインジケータをデバイスに追加可能です。ユーザーは特定のプロジェクト要件に合わせてスキャナの機能を拡張し、より多様な測定タスクに対応できるようになります。

また、FARO Flashというフォトグラメトリとレーザースキャニングのハイブリット技術により、大規模な屋内プロジェクトに適した超高速スキャンが可能となります。ひとつのスキャナーで多様な用途に対応でき、作業効率も向上するでしょう。

使いやすいタッチスクリーンで簡単に操作できる

FARO社の3Dレーザースキャナは、スキャンボタンを押すだけで3Dデータを取得できます。専門的な知識や技術、資格が不要なため、はじめて3Dレーザースキャナを触る人でも安心です。

また、リアルタイムでのスキャンプレビュー機能もあり、スキャン中にデータの品質を確認し、必要に応じて調整を行えます。現場に導入すれば、作業効率を大幅に向上させる効果が期待できます。

ただし、3DデータからCGやCAD図などを作成するには、専用のソフトウェアの使用が必要です。

広範囲での温度環境で使用できる

FARO社の3DレーザースキャナはIP54規格の防塵・防水性能を有し、広範囲の温度環境での使用に対応しています。厳しい環境下でも高精度なデータを提供してくれるため、屋外や工場などの過酷な環境でも安定した性能を発揮する優れものです。

そのため、建設現場や製造工場、屋外の測量作業といった幅広いプロジェクトに対応できます。また、耐久性と信頼性にも優れており、長期間にわたって安定した性能を維持する点も特徴のひとつです。

FARO社製・3Dレーザースキャナの製品仕様・価格帯

ここでは、FARO社製・3Dレーザースキャナの製品仕様・価格帯をまとめます。

製品名Focus Premium 350Focus Premium 150Focus Premium 70Focus Core 70
測定距離(最長)350m150m70m
価格1000万円~850万円~700万円~500万円~
重量4.4kg
サイズ230 x 183 x 103 mm
測定速度(点/秒)最大2,000,000最大500,000
範囲誤差±1mm±2mm
解像度最大266メガピクセル最大165メガピクセル
HDR13メガピクセル、2x、3x、5xブラケット8メガピクセル、2x、3x、5xブラケット
視野(垂直/水平)300°/360°
レーザーLaser class 1
データ保存SATA 3.0 SSD 128GBおよびSDXC™ V30 64 GB SDカード;SD3.0、UHS-I / SDXC™ / SDHC™、最大512GB
WLANIEEE 802.11 ac/a/b/g/n 2×2MIMO、既存のネットワーク(2.4および5GHz)のアクセスポイントまたはクライアント
2軸補正センサ±2°内で精度19秒角の水準測量を実行
高度センサ固定点に対する高度を検出し、スキャンに追加可能
GNSSGPS & GLONASS
電源電圧19V(外部供給) 14.4V(内蔵バッテリー)
内蔵バッテリー連続使用約4時間
周囲温度5~40℃
※拡張キッド(サーマルプロテクト)を別途装備すると、-10〜55℃で動作
IP規格IP54

それぞれ重量やサイズは同じですが、測定距離や速度、範囲誤差や解像度が異なります。種類によってかかるコストも異なるため、予算や用途に合わせて選ぶようにしてみてください。

FARO社製・3Dレーザースキャナの導入事例

FARO社製の3Dレーザースキャナは高精度と多機能性により、さまざまな分野で導入されています。以下は項目別でまとめた使用事例です。

・建築分野での設計や施工
・製造分野での検査や測定
・犯罪科学分析と事故防止対策

それぞれ詳しく解説します。

建築分野での設計や施工

FARO社製の3Dレーザースキャナ「Focus3D」は、建築分野での設計や施工において活用されています。事例として、株式会社 竹中工務店が新築ビルの工事においてFocus3Dを用いて3D計測を行い、解体やコンクリート打設量を最小化しました。

Focus3Dの導入により、既存躯体の解体とコンクリート打設がそれぞれ5㎥(立法メートル)削減できたと報告されています。さらに、3Dレーザースキャナーによる点群計測を活用し、複雑に配置された設備の改修工事において大きな効果を発揮したのです。

延べ床面積約13万m²の複合施設の熱源改修工事では、Focus3Dによる計測を行い、3Dモデル作成を自動化しました。結果、151時間かかる作業を数時間に短縮することに成功しています。

参考:竹中工務店の点群データ活用事例

重工業分野での検査や測定

FARO社製の3Dレーザースキャナは、重工業分野においても重要な役割を果たしています。事例として、「測定サービス」に力を入れているJFEメカニカル株式会社はレーザースキャナを導入し、幅広いサービスを展開中です。

JFEメカニカルでは3Dレーザースキャナを活用し、以下のような測定事例を実施しています。

・設備工事の部品取り付け位置確認
・ローラーの傾き計測
・スピンドルの形状計測
・建屋の傾き計測
・障害物がある場合の寸法測定
・炉壁の傾きや損耗測定
・天井クレーンのレール測定

上記の測定結果は重工業においての安全性や効率性、精度の向上に大きく貢献しています。JFEメカニカルは3Dスキャナの技術を応用して、常に最高の技術を顧客に提供する努力を続けているのです。

参考:多岐にわたる測定ニーズに応える JFEメカニカル株式会社

犯罪科学分析と事故防止対策

FARO社製の3Dレーザースキャナは、犯罪科学分析と事故防止対策にも活用されています。

オランダ警察では犯罪現場の再構築や検証、測定に非常に有効だと発表していました。3Dレーザースキャナの使用により、犯罪現場の記録時間が大幅に短縮され、データ処理作業も高速化されています。

この技術により、犯罪現場をミリ単位の精度で捉え、法廷での再現や証拠提出に役立てることが可能となりました。さらに、FARO® SCENEソフトウェアを使用し、VR上で点群の中を歩き回ったり犯罪現場の写真をその場で加工できるようになったのです。

結果、犯罪現場に足を運ばずとも現場にいるような体験が可能になり、時間とコストの節約にもつながりました。

参考:犯罪現場を法廷に持ち込む

FARO社製・3Dレーザースキャナ使用時の注意点

FARO社製・3Dレーザースキャナはさまざまな分野で活用できますが、いくつか注意点があります。使用する際には以下の点に留意しましょう。

・障害物のない環境下で使用する
・取得したデータはソフトウェアでの処理が必要になる
・曲面や穴の多い物体や光沢の多い物体の測定は難しい

それぞれ詳しく解説します。

障害物のない環境下で使用する

FARO社製の3Dレーザースキャナを使用する際は、スキャナの周囲に障害物がないか確認することが非常に重要です。障害物が存在すると、スキャナのレーザーが正確に対象物に到達せず、データの精度が低下する可能性もあります。

障害物がなければ、より広範囲のスキャンが可能になり、作業の効率が大幅に向上します。スキャン前には周囲の環境を確認し、必要に応じて障害物を移動させましょう。

取得したデータはソフトウェアでの処理が必要になる

FARO社製の3Dレーザースキャナで取得したデータは、専用のソフトウェアを使用して処理しなくてはいけません。ソフトウェアを用いることで、スキャンデータを3Dモデルに変換したり、データの分析や編集を行えます。

データ処理はスキャンの目的や必要に応じて行うため、適切なソフトウェアの選定と操作の習得が重要です。FARO® SCENEソフトウェアを使用すれば、データをすぐに取得して解析を行えます。

曲面や穴の多い物体や光沢の多い物体の測定は難しい

3Dレーザースキャナは、曲面や穴が多い物体や光沢のある物体のスキャンにおいて精度が低下する恐れもあります。曲面はレーザー光を均一に反射しないため、スキャナーが正確なデータを取得できなくなるのです。

また、光沢のある表面はレーザー光を強く反射することから、正確な距離を測定するのが困難になります。そのため、曲面や穴の多い物体には複数の角度からスキャンを行い、欠落したデータを補完するのがよいでしょう。

光沢のある物体をスキャンする際には、表面をマットな素材で覆うか反射を抑えることで詳細なデータを取得できます。

FARO社製・3Dレーザースキャナについてよくある質問

最後に、FARO社製・3Dレーザースキャナーについてよくある質問から、以下2つの回答を紹介します。

・3Dレーザースキャナはレンタル可能?
・3Dレーザースキャナの使用マニュアルはある?

3Dレーザースキャナはレンタル可能?

FARO社製の3Dレーザースキャナは、一部の業者を通じてレンタルすることが可能です。レンタルは短期間のプロジェクトや一時的な使用に適しており、購入に比べてコストを抑えられます。

ただし、利用可能なレンタルサービスは地域や業者によって異なるため、事前に違いを確認しましょう。

3Dレーザースキャナの使用マニュアルはある?

FARO社製の3Dレーザースキャナには、使用マニュアルが付属しています。マニュアルには装置のセットアップや操作方法、データ処理の手順などが詳細に記載されていて、初心者でも理解しやすいです。

FARO社のナレッジベースがWEBで公開されており、操作方法で不明な点が出てきた場合、すぐに検索して解決できます。

参考:Knowledge Base

FARO社製・3Dレーザースキャナを導入してみよう

FARO社製の3Dレーザースキャナ「Focus Laser Scanner」は、高精度なスキャンデータを高速で取得できます。カスタマイズ機能が豊富で軽量かつコンパクトなため、現場への持ち運びも可能です。

用途に合った最適なスキャナを選ぶことで、効率的かつ効果的な作業を実現できます。FARO社の3Dレーザースキャナの導入を検討している方は、本記事で紹介した種類ごとの価格や仕様を参考に、最適なスキャナーを探してみてください。

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