ハンディ型3Dスキャナーの特徴や価格相場を紹介|活用事例や選び方も理解しておこう

「ハンディ型3Dレーザースキャナーの特徴は?」「ハンディ型3Dレーザースキャナーの価格相場は?」という疑問をお持ちではないでしょうか。

ハンディ型3Dレーザースキャナーは、小型で軽量かつ複雑な形状の対象物でもスキャンできる計測装置です。機械室や天井裏など狭い空間の現況データを提供してくれる反面、使用するモデルによって価格も変化します。

本記事では、ハンディ型3Dスキャナーの特徴や価格相場を紹介します。活用事例や選び方、おすすめモデルも紹介しているので、参考にしてください。

目次

ハンディ型3Dスキャナーの特徴

ハンディ型3Dスキャナーは名前のとおり、手で持ちながら使用するタイプの3Dスキャナーです。特徴は以下のとおりです。

  • 小型で軽量
  • 複雑な形状の対象物でもスキャン可能
  • スキャン速度が高速

それぞれ詳しく解説します。

小型で軽量

ハンディ型3Dスキャナーの魅力は、小型で軽量な設計にあります。

スキャナーを容易に持ち運びできるため、狭い場所や風の強い環境でも使用できます。フィールドワークや外出先、狭いスペースでの作業時に便利です。

複雑な形状の対象物でもスキャン可能

ハンディ型3Dスキャナーは、複雑な形状や細かな対象物のスキャンに適しているアイテムです。

対象物の周りを移動しながらスキャンすることで、アクセスが難しい部分も簡単に捉えられます。

また、機能性にも優れており、工業製品の設計や文化財の保存、医療分野など多くの場面で活用されています。

スキャン速度が高速

ハンディ型3Dスキャナーはスキャン速度が高速かつ、短時間で広範囲のデータを収集できるため、作業の効率化に適しています。

とくに、時間制約のある現場作業や、動いている対象物をスキャンする際に活躍します。

また、大規模なオブジェクトや広範囲のエリアを調査する際にも有効で、時間と労力を節約しながら高品質な3Dデータを生成可能です。

ハンディ型3Dスキャナーの価格帯を種類別に比較

ハンディ型3Dスキャナーは種類ごとに価格帯が異なります。以下に種類別での価格帯や特徴をまとめました。

種類価格帯対象者
エントリーモデル10~50万円初心者や個人事業者
中級モデル50~100万円エントリーモデルよりも高いスキャン精度を求める方
ハイエンドモデル100~500万円中級モデルよりも高いスキャン精度と速度を求める方

ここからは、種類ごとに特徴を詳しく解説します。

エントリーモデル:10万円~50万円

エントリーモデルは、初心者や個人ユーザー向けのスキャナーです。工場内の点検や店舗の陳列棚の設計など、基本的な操作ができるスキャナーを手頃な価格で入手できます。

スキャン精度は高価格帯の商品よりも低いものの、簡易的に利用する分には問題ありません。また、操作性も簡単なので、初めてハンディ型3Dスキャナーを使うユーザーでも安心です。

中級モデル:50万円~100万円

中級モデルは、エントリーモデルよりも高いスキャン精度と速度を提供してくれるスキャナーです。

製品設計やアート作品の複製、教育用のデモンストレーションなど、多岐にわたる分野で活用されています。

細かなスキャンが可能なので、エントリーモデルより高精度を求めるユーザーや小規模ビジネスを行う方に最適です。

ハイエンドモデル:100万円~500万円

ハイエンドモデルのハンディ型3Dスキャナーは、高水準の性能と機能を備えています。スキャン精度が高く、複雑な形状や細かなオブジェクトのスキャンが可能です。

また、高速でデータを収集できるため、大規模なスキャン作業も短時間で完了します。

データ処理や分析を効率的に実施できるので、時間効率を重視する環境や研究プロジェクトにも有用です。

ハンディ型3Dスキャナーの活用事例

ハンディ型3Dスキャナーは、携帯性と高精度のスキャン能力を有する機器です。

とくに、後ほど紹介するFARO社のハンディ型3Dスキャナー「Freestyle 2 Portable 3D Scanner」は、汎用性と実用性で注目されています。

ここでは、ハンディ型3Dスキャナーの具体的な活用事例を2つ紹介します。

  • 機械室や天井裏など狭い空間の現況データを提供
  • 犯罪捜査現場での小さな対象物を測定

機械室や天井裏など狭い空間の現況データを提供

ハンディ型3Dスキャナーは機械室や間仕切り、天井裏などアクセスが困難な狭い空間の現況データを正確に捉えられます。

とくに、建設やリフォームの分野で活かしやすく、プロジェクトの計画や検証、引渡しを遅延やコストの増加なしで実行可能です。

実際、建設現場での機械設備の配置計画や、リフォーム時の既存構造測定に利用されており、狭い空間でも迅速かつ正確な3Dデータの取得ができます。

参考:ポータブルでターゲットを絞った3D現実取得が手の届くところに

犯罪捜査現場での小さな対象物を測定

現場に残された小さな証拠品や、犯行に使用されたと思われる物品測定の際にも、ハンディ型3Dスキャナーが使用されます。

0.4~10メートルの範囲での距離測定が可能で、写真のようなリアルな3Dキャプチャ機能を備えています。

現場の状況を即時にリアルタイムで視覚化して、証拠品の正確な位置や寸法を記録することも可能です。

また、スキャナーによる測定技術は捜査の精度を高めるだけでなく、法廷での証拠提示にも役立ちます。

参考:FARO®がFreestyle 2ポータブル3Dスキャナーをリリース

ハンディ型3Dスキャナーを選ぶ4つのポイント

ハンディ型3Dスキャナーは、使用目的によって選ぶモデルが異なります。スキャナーを選ぶ際には、以下4つのポイントを押さえておきましょう。

  • スキャンの精度
  • スキャンの範囲
  • 操作性・重さ
  • 価格帯

スキャンの精度

スキャンの精度は、ハンディ型3Dスキャナーを選ぶ際の重要な要素です。

例えば、工業や医療関連では高い精度が求められる一方、趣味や教育用途では求められてないケースも多いです。

使用目的によって求められる精度が異なるため、コストパフォーマンスを高めるためにも、条件に合ったモデルを選択しましょう。

スキャンの範囲

ハンディ型3Dスキャナーを選ぶ際には、スキャンの範囲も重要な要素となります。

大きなオブジェクトをスキャンする場合は、広範囲をカバーできるモデルが最適です。

一方、小さなオブジェクトや細部のスキャンには、狭い範囲を正確にカバーできるモデルが適しています。

3Dスキャナーを購入する前に、対象物のスキャン範囲を確認しておきましょう。

操作性・重さ

ハンディ型3Dスキャナーの操作性・重さも重要な選択基準です。とくに現場で頻繁に使用する場合、重すぎると操作に支障をきたす可能性があります。

軽量で使いやすいモデルは長時間の作業でも疲れにくく、現場での効率を高めてくれます。

直感的な操作が可能なインターフェースを有するモデルは、初心者でも使いやすいです。ただし、モデルによって重さが異なるため、慎重に選択しましょう。

価格帯

価格帯は、ハンディ型3Dスキャナーを購入する際に考慮すべき重要なポイントです。3Dスキャナーの価格は、機能やデータの品質、速度に応じて変化します。

高品質の3Dスキャナーは価格こそ高いものの、品質が高く長期間利用できます。一方、安価なスキャナーは機能性や操作性が不便な場合もあるのです。

価格と品質のバランスを考えたうえで、最適なハンディ型3Dスキャナーを選択しましょう。

おすすめのハンディ型3Dスキャナー4選

ハンディ型3Dスキャナーには複数のモデルがあり、どれを選べばいいのか迷ってしまいます。

本記事では、おすすめのハンディ型3Dスキャナーを4つ厳選しました。

  • FARO Quantum
  • FARO Freestyle 2 Handheld Scanner
  • FARO Orbis
  • GeoSLAM ZEBHorizon

ハンディ型3Dスキャナーを選ぶ際の参考にしてください。

FARO Quantum Max  

FARO Quantum Max  

FARO Quantum Maxは、計測が難しい形状や部品をμ単位で計測可能なスキャナーです。非接触で高速かつ正確な測定を実現してくれます。

FARO Quantum Maxには「レーザーラインプローブ」という、レーザー光線を利用して、対象物の表面に線状の測定データを取得する方法が導入されているので、パーツやツールに届かない場合でもデータ取得が可能です。

ポータブル座標測定機能と組み合わせることで、製造業や工学分野での精密な3D測定や品質検査、リバースエンジニアリングにも活用可能です。

FARO Freestyle 2 Handheld Scanner

FARO Freestyle 2 Handheld Scanner

FARO Freestyle 2は軽量で高い柔軟性を有しており、比較的資金距離の対象物に対する高精度なスキャンが特徴です。

「3Dリアリティキャプチャ」機能も導入しており、現場や事故の調査、建設現場のドキュメンテーションなど、再現性が問われる場面で活躍します。

また、リアルタイムディスプレイ表示により、現場でのデータの確認が容易かつ直感的に行えるだけでなく、暗闇のなかでもカラースキャンが可能です。

FARO Orbis

FARO Orbis

FARO®Orbis™は、SLAM技術を搭載したとても軽くコンパクトなハンディ型3Dレーザースキャナです。

手に持って歩くだけでスキャンが完了し、丈夫で使いやすく、処理が簡単なのに高速・高精度なデータ取得を実現します。

さらに、リアリティキャプチャ機能を備えたFARO Flash Technology™を搭載することにより、固定スキャンとモバイルスキャン機能を統合したオールインワン型で、場所を選ばずスピーディ且つ高品質な計測を叶えます。 

GeoSLAM ZEBHorizon

GeoSLAM ZEBHorizon

GeoSLAM ZEBHorizonは、SLAM技術を搭載した屋内外で使用可能なハンディ型3Dレーザースキャナです。

軽量でコンパクトなモバイルの利点を活かして、人の手が届きにくい場所や立入りが困難な場所でも使用できます。ハンディタイプのみならずドローンや車など豊富な媒体に搭載可能であることが特徴です。 

主な活用用途は以下のとおりです。

  • ビルの点検・管理
  • 鉱山での地形調査
  • 森林調査
  • 遺跡調査
  • 金属精錬所でのスラグ体積計算

ハンディ型3Dスキャナーについてよくある質問

最後に、ハンディ型3Dスキャナーについてよくある質問に回答します。

  • ハンディ型3Dスキャナーはレンタル可能?
  • 安いハンディ型3Dスキャナーだと精度は落ちる?
  • ハンディ型3Dスキャナーは個人用・業務用とで差はある?

ハンディ型3Dスキャナーはレンタル可能?

ハンディ型3Dスキャナーはレンタル可能な場合が多いです。多くの企業が「FARO社製ハンディ型3Dスキャナ」や「Artecのハンディ型」などのモデルをレンタルサービスとして提供しています。

ただし、レンタルの条件や利用可能なモデルは会社によって異なるため、事前に確認しましょう。

安いハンディ型3Dスキャナーだと精度は落ちる?

安価なハンディ型3Dスキャナーは、高価なモデルに比べて精度が低い傾向にあります。

低価格帯の3Dスキャナーは、エントリーレベルの製品が多く、シンプルな機能に特化している場合があります。

ただ、安価なハンディ型3Dスキャナーは、個人レベルでの使用や教育用途に適しているため、使用目的を考慮して選択してみましょう。

ハンディ型3Dスキャナーは個人用・業務用とで差はある?

ハンディ型3Dスキャナーには個人用と業務用が存在しており、使用目的によって選択するモデルが異なります。

個人用モデルは一般的に低価格で、簡単な操作性と基本的なスキャン機能を備えているのが一般的です。

業務用モデルは高精度かつ高速なスキャン能力、ソフトウェア機能を提供しますが、その分価格帯も上がります。

各タイプの特徴や予算、使用目的でどちらを選ぶか検討してみましょう。

ハンディ型3Dスキャナーを導入してみよう

ハンディ型3Dスキャナーは小型軽量な設計と高速スキャン機能で、多様な用途に対応します。

価格帯によって性能が異なるため、使用目的に合わせた適切なモデルの選択が重要です。

ハンディ型3Dスキャナーの導入を検討している方は、本記事で紹介したモデルを参考に最適なスキャナーを探してみましょう。

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