流離の執行役員JET船越です。今回は、2022年3月31日(木)まで開催されていたドバイ万国博覧会(ドバイ万博)の日本館を、弾丸ツアーで3D点群計測してきた道中記をご報告します。
突然決まった出発日
3月中旬に社長がひらめかれました、「もうすぐドバイ万博終わってしまうけど、日本館の3D計測できないものだろうか」。
行動力の塊のような社長は、早速に経産省の知人に問合せ。それから数日後の3月18日(金)には、経産省の博覧会推進室のメンバー様とリモート会議を実施。
我々の提案にご興味を持っていただいたご担当者様から、早速に現地の日本館とご調整いただくことになりました。
とは言っても、ドバイ万博はフィナーレを迎えるタイミング。現地もお忙しいだろうから、行くとしても閉会直後の4月の1週目かなと考えていたら、3月25日(金)の夕方に経産省の博覧会推進室のご担当者様からメールが。
「閉会後は入館できないので、3月28日(月)か、3月29日(火)か、3月30日(水)かの夜勤で計測できませんか」とのこと。
…もう夕方。明日から土日…。
行けるのか船越…
ここで、ネゴシエート力だけでビジネスの世界を乗り切ってきた船越は、和親協力・創意工夫・特命される企業を目指すという、我社の経営理念のキーワードにのっとり行動に出ます。
パスポートとワクチンパスポートとメンバーの手配はOK。
問題は航空券と3Dスキャナ3台の確保と、ATAカルネ(※注1)の手配。それぞれメンバーと分担して早速対応。
3月28日(月)はもともと関西国際空港からドバイ国際空港への便は設定なし。
よって3月29日(火)の23:00に関西国際空港を発って、現地時間3月30日(水)の5:00に着く便(フライト時間10時間30分)のチケットを確保。
その便に乗れるようにATAカルネを特急で手配し、これで準備万端です。
現地の日本館のメンバー様に3月30日(水)の夜勤で計測させていただく旨をお伝えし現地へ飛びました。
おそるべしクモノスコーポレーションのチーム力!
※注1 ATAカルネとは
世界の主要国の間で結ばれている「物品の一時輸入のための通関手帳に関する通関条約(ATA条約)」に基づく国際的制度による通関用書類のことです。 商品見本や展示用物品、職業用具等の物品をある国に持ち出し、仕事が終わったらその国から持ち出してまた別の国に行く、あるいは日本に持ち帰ってくるといった場合、それぞれの国で通関手続を行わなければならず、また、場合によっては課税されることもあります。このようなとき、ATAカルネを利用することによって、それぞれの国の税関で、都度、通関書類を作成することなく、また、課税されることなく輸出入通関することができます。
ドバイについてもバッタバタ
ドバイ国際空港には予定どおりに到着したものの、税関でのATAカルネの処理に1時間以上かかった上、時間外手数料もとられてしまいました。
20時~8時の間の処理には時間外手数料がかかり、しかも現金払い。ドバイに行かれる方はご注意ください。
まずはタクシーでホテルまで移動し、大きな荷物を置いてすぐにドバイ万博会場へ。急な訪問のため、関係者パスを発行していただけず、一般のチケットを購入したのですが、2日間で約1,600円と、物価の高いドバイでは驚きの安さでした。
無事ドバイ万博へ到着!
入場ゲートには空港なみのセキュリティーチェックがあり、360度カメラを3台持っていたせいか、かなり厳しくチェックされてしまいました。事前に現場踏査しておくものですね。夜勤前に3Dレーザースキャナを3台持ってきたら、確実に足止めをくらってしまいます。そこで、事前に日本館のご担当者様に連絡しておいて、もし足止めをくらったらお迎えに来ていただくようお願いしておけました。
万博会場に入場して、いの一番に日本館に並ぼうと向かったのですが、なんと会期の残り2日間、日本館は事前予約の方のみ入場可能で、キャンセル待ちの見込も無しとのこと!
しかたなく近くのイタリア館に並び1時間ほどで入場できたのですが、ガッカリな感じの展示… その後、とにかく入れそうな有名どころの国々を回ろうと歩き周り12か国(※注2)に入場。
2件目に入ったスペイン館は、なぜか行列は無かったのですが展示はかなり楽しめました。それについては後に納得することになります。
一旦ホテルに戻りチェックインして、夜勤の準備をして再び万博会場へ。案の定セキュリティーで足止めをくらい、お迎えをお願いしました。
※注2 3月30日(水)に訪問した12か国
①イタリア館 ②スペイン館 ③ニュージーランド館 ④オランダ館 ⑤シンガポール館 ⑥スウェーデン館 ⑦ブラジル館 ⑧トルコ館 ⑨アメリカ館 ⑩スイス館 ⑪オーストリア館 ⑫ベラルーシ館
いざ!日本館の計測へ!
日本館の計測は3月30日(水)の夜勤。24:00から明朝6:00を館内の計測。引き続き6:00から9:00に外観の計測を実施しました。
この短期間で準備をして3Dスキャナを3台持ってきて夜勤で確実に計測できる会社は、世界でもそんなにないはず。日本では我社だけだと自負しています。
粛々と計測を実施し、時間どおりに計測完了できました。
計測途中に、早朝に試運転を実施されることを耳にした私。ここはダメ元でお願いしてみると、試運転での体験をご快諾いただき、計測メンバー3名そろって日本館の展示を通しで体験させていただきました。
日本館の展示内容は、昨日回った12か国とは比較にならないほどの素晴らしさ!
動画やARなどを駆使し、4セクションに分けて順番に体験していく形は、観客を飽きさせず、徐々に心を引き付けていく感じは、他の国々のパビリオンでは体験できないものでした。
それもそのはず。ドバイ万博のパビリオンのアワードで、1位は日本館、そして3位が先に記載したスペイン館、2位はなんとパキスタン館でした。
ドバイ最終日
夜勤明け3月31日(木)。一旦ホテルに戻り機材を置いて、帰国に必要なPCR検査陰性証明書を入手するために、ドバイのローカルの病院にPCR検査を受けに行きました。病院の皆さんは慣れた様子で対応してくださって、受付から検査完了まで30分ほどで完了しました。結果はその日のうちにPDFファイルで送信してくれるので大変便利です。その日のうちに日本政府が求める書式の陰性証明書を入手できたので、これで帰国も安心です。
残された時間ドバイ万博の最終日を体験しようと、病院近くの駅からMRTで万博会場にもどり、気合と根性で20か国(※注3)のパビリオンを回りました。1位と3位は既に体験済みでしたので、2位のパキスタン館は外せません。もちろん体験してきました。本来ならドバイ万博のフィナーレを体験したかったのですが、気合と根性で歩き回り、しかも夜勤明けで寝ていない私たちは疲労困憊、しかも増え続ける観客を見ながら、これは最後までいたら会場からホテルに戻れなくなると判断し、後ろ髪を引かれる思いで撤退… フィナーレの催しや花火はテレビやYouTubeで観ることになりました。
フライトの都合で帰国は4月2日(土)の深夜3:00発。前日4月1日(金)の12:00にはホテルをチェックアウトし、少しばかりの市内散策をして18:00には空港へ。
エミレーツ航空は24時間前からチェックイン可能と聞いていたし、入国時にATAカルネの時間外処理の手数料を経験していたので、早めの行動です。
しかしながらここから最後の難関…
※注3 3月31日(木)に訪問した20か国
①イギリス館 ②ウクライナ館 ③モナコ館 ④インドネシア館 ⑤レバノン館 ⑥パキスタン館 ⑦ノルウェー館 ⑧中国館 ⑨ベルギー館 ⑩フランス館 ⑪タイ館 ⑫ラオス館 ⑬ネパール館 ⑭パナマ館 ⑮アルゼンチン館 ⑯ウルグアイ館 ⑰デンマーク館 ⑱フィンランド館 ⑲アルジェリア館 ⑳トルクメニスタン館
帰れるのか、俺たち
空港の税関の場所を探すのに一苦労。どこにも税関の案内掲示が無いのです。そこらの人に聞いてみると、親切にあちらだと教えてくれたので行ってみると見当たらない。他の人に聞いてみると違うあちらだと…
ようやく見つけてみるとオフィスは締まっている。
隣にあったエミレーツ航空のロジスティックス系のオフィスに入り聞いてみると、反対側にもオフィスがあるとのことですが、そこも先ほど締まっているのを確認済だと言うと、そちらに行って電話してみろとのこと。
電話番号らしき小さなメモが貼ってあったことを思い出し、再度反対側のオフィスに行き電話してみると、そこから警察官のような制服を着た人が立っているのが見えるので、その人に声をかけて到着口を逆流して来いとの指示…
「そんな場所、初めて来てわかるかい」と心で突っ込み、なんとか税関でATAカルネの処理を終え、ようやくドバイのイミグレーションを通過。
あとは空港での7時間待ちと9時間30分のフライトのみです。
ただいま日本
関西国際空港に到着し、シャトルに乗る前に待たされて、本館駅に着いて待たされて、下に降りたらPCR検査をして、その後に書類確認をして、アプリの確認をして、PCR検査の結果待ちをして、完了したのは着陸して2時間後!
でも… 水際対策して下さっている皆様には、感謝と敬意を感じました。この方々の努力が感染者数を確実に減らしているはずですから。
心と体にダメージ受けるドバイ短期出張でしたが、ドバイ万博を経験して思いました。
世界の国々や人々が、平和のもとに集まるって素晴らしい。
この雰囲気熱量って素晴らしい。
ここでの経験価値の高まりって素晴らしい。
COVID19の影響で、ドバイ万博を経験できた日本人は多くないだろうと思います。だからこそ思うのです。
この経験を熱く土産話として語り、大阪関西万博の重要性、未来を担う若者や子供たちへの好影響、なにより楽しさを伝えていこうと。
大阪関西万博に向けて微力ながら努めていくのが、貴重な体験をさせていただいた者の使命だと信じて。