天井裏を壊さない3D計測|天井補強設計の精度を高める技術

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天井裏を壊さない3D計測|天井補強設計の精度を高める技術

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天井補強設計や設備改修を進める際、重要になるのが天井裏の正確な現況把握です。
しかし、天井裏は梁や配管、ダクトなどが複雑に入り組んでおり、従来の目視やスケールによる計測では全体を正確に把握することが難しいケースも少なくありません。広い空間や複雑な構造を持つ建物では、調査に多くの時間と人員が必要となるほか、死角が生じやすいという課題があります。
こうした課題を解決する手段として、クモノスコーポレーションでは3D点群計測技術を用いた天井裏計測を実施しています。

天井裏計測の必要性

地震時の天井脱落被害を防ぐため、平成25年の建築基準法施行令改正により「特定天井」への脱落防止対策が義務付けられました。特定天井とは、以下の条件すべてに合致する天井を指します。

  • 吊り天井
  • 高さ6m超
  • 面積200平米超
  • 質量2kg/平米超
  • 人が日常利用する場所

現在、ホール・百貨店・駅舎などの改修に際し、技術基準への適合を確認するための計測依頼は年々増加しています。目視が困難な天井裏の構造を正確に把握することは、法的義務の遂行だけでなく、利用者の命を守るために不可欠なプロセスです。

天井裏計測の活用シーン

 

天井裏計測は、目視が困難な隠蔽部の状況を正確に把握するために活用されます。主なシーンは以下の3つです。

  • 特定天井の脱落防止対策
  • 設備更新・リニューアル時の干渉チェック
  • 図面のない既存建築物の現況図・BIM・デジタルツイン作成

それぞれ詳しく解説していきます。

  • 特定天井の脱落防止対策

    特定天井の脱落防止対策において、重要なステップのひとつが現状の正確な把握です。多くの大規模施設では、天井裏に複雑な配管やダクトが入り組んでいるため、従来の点検だけでは吊りボルトの劣化や振れ止めの不足を完全に見極めることが困難です。
    そこで天井裏を精密に計測することで、技術基準への適合性を客観的な数値で判断できます。対策が必要な箇所を的確に特定し、無駄のない効率的な補強設計を行うためには、まず「見えない場所」を正確に測り、可視化することが重要です。

  • 設備更新・リニューアル時の干渉チェック

    空調設備の更新や配管のリニューアル工事では、天井裏の限られたスペースをいかに効率よく活用するかが課題となります。天井裏設備は現場あわせで施工されることが多いため図面と実態が異なっているケースが多々あり、いざ施工を始めてから「予定していた場所に配管が通らない」といった干渉トラブルが発生し、工期遅延やコスト増を招くことが少なくありません。

    事前に天井裏を計測して現況をデータ化しておくことで、新設設備との位置関係を事前に把握できます。現場での「開けてみなければわからない」という不確定要素を排除し、スムーズな施工計画の策定を支える基盤になると考えています。

  • 図面のない既存建築物の現況図・BIM・デジタルツイン作成

    築年数が経過した建築物では、竣工当時の図面が紛失していたり、度重なる改修で現状を反映した図面が存在しなかったりすることが多々あります。このような現場で天井補強や大規模改修を行う際に、正確な図面の不在は大きなリスクとなります。
    天井裏の計測技術を用いると、現況をありのままに捉えたデジタルデータの構築が可能です。天井裏の構造体や設備の配置を正確に記録することで、信頼性の高い現況図・BIMを再現できます。

    将来的なメンテナンスや修繕計画においても、建物の状態を正しく管理するための重要な基本データとしてお使いいただけます。

天井裏計測の課題

天井補強設計や設備改修を進める際、天井裏の正確な現況把握に大きな効果が期待される3D計測ですが、実際の天井裏は、梁やダクト、配管が複雑に重なり合った独特の空間で、スキャナを置くだけで全面が取れるほど単純ではありません。
環境に合わせたノウハウが不足していると、うまく視界が確保できず、結果的に計測できる範囲がごく一部に限られてしまうこともよくあります。

天井裏計測の課題を解説します。

  • レーザーが届かないゆえのデータ欠損

    まず、厄介なのが、レーザーの通り道が確保しづらい点です。天井裏には構造材やダクト、配管、機器類が密集しているため、レーザー光が途中で遮られ、どうしても影になる場所が生じます。
    点検口の周辺だけは細かく取れたとしても、奥まった部分が抜け落ちたり、天井全体の形がつながらなかったりと、データは部分的なものになってしまいがちです。

  • 制約条件の多い天井裏

    さらに、天井裏という場所そのものが3D計測に向かない条件をいくつも抱えています。
    狭いうえに高さの差が大きく、機器や配管で通路が塞がれ、点検口の位置も自由に選べません。機材を動かすだけでも一苦労で、最適な角度や設置位置を見つけるにも現場ノウハウが欠かせません。どんなに最新の3Dスキャナでも「見えるところだけが取れる」状態に陥り、全体のデータを取得することができません。

  • 計測精度を左右する技術・ノウハウ

    天井裏の3D計測は道具さえあれば誰でもできるわけではありません。
    どの3Dスキャナー機器を使用するか、どの点検口から計測を始めるか、どこに機材を設置するか、取得した点群データをどう合成するか、こうした一つひとつの積み重ねが、正確なデータ取得の可否を左右します。誤った判断をすれば、天井裏全体の構造を連続して捉えることは難しくなります。
    天井裏3D計測は確かに強力な手段ですが、その空間がもつ複雑さゆえに、どうしても“部分的になりやすい”という課題があります。

計測には、天井裏特有の構造の理解と、個々の状況に応じた計測機器・計測技術が不可欠です。

クモノスコーポレーションが提案する3Dによる天井裏計測

クモノスコーポレーションは、「天井裏の完全な可視化」を、複数の最新デバイスの組み合わせと多数の実績による計測ノウハウにより実現しています。
梁や配管による死角を排除するため、地上型レーザースキャナ・ハンディ型レーザースキャナ・超小型ドローンを現場の状況に応じて使い分け、単独の機器だけでは把握が難しかった空間まで網羅的にデータを取得。
さらに、異なるデバイスで取得したデータを統合する独自の合成技術を活用しています。動画から生成した点群とレーザースキャナによる高精度な点群を重ね合わせることで、死角のない天井裏データを構築します。
これにより、壊さなければ確認できなかった天井裏の状況をデジタル上で再現でき、高精度な補強設計や設備の干渉チェックが可能です。

【動画で解説】3Dレーザースキャナとは?

以下3つの具体的な方法について、それぞれ詳しく解説します。

  • 地上型レーザースキャナ
  • ハンディ型レーザースキャナ
  • 超小型ドローン
  • 地上型レーザースキャナ

    地上型レーザースキャナ(TLS)は、圧倒的な計測精度と広範囲をカバーする能力が特徴です。一度の計測で最大半径400mまでレーザーが届き、対象物を座標・色・反射強度の情報を持つ高密度な点群としてデジタル化します。
    しかし、天井裏のような障害物が多い閉鎖空間では、レーザーが遮られ死角が生じやすいという側面もあります。
    特徴的な形状が多い場所では、ターゲットを使用せずに形状そのものを捉えて自動合成する「形状合成技術」を用いることで、効率的に広範囲のデータを構築できます。

地上型レーザースキャナイメージ図
  • ハンディ型レーザースキャナ

    ハンディ型レーザースキャナは、三脚を使用せず手に持って移動しながら計測できる機動性に優れた3Dレーザースキャナです。特徴はその計測スピードにあり、従来の地上型レーザースキャナよりも時間短縮ができます。
    天井裏計測では、点検口からスキャナを差し込むだけで、地上型レーザースキャナの3分の1程度の時間で周囲の詳細なデータを取得可能です。地上型レーザースキャナでは設置が物理的に不可能だった狭小空間でも、最新のSLAM技術(移動しながらの自己位置推定と地図作成)であれば、高精度な計測を実現します。

ハンディ型レーザースキャナイメージ図
  • 超小型ドローン

    ハンディ型レーザースキャナでもカバーしきれない、配管の裏側や人が立ち入れない超狭小空間の調査には、超小型ドローンを活用します。わずかな隙間を潜り抜けて飛行し、天井裏の隅々まで撮影が可能です。
    クモノスコーポレーションでは、この超小型ドローンで撮影した動画を独自の技術で解析し、静止画からメッシュ化、さらには点群データへと変換します。動画由来の点群をレーザースキャナの点群と合成することで、精度を維持しつつ、スキャナだけでは生じていた死角を補完できるのが特徴です。
    これにより、天井裏の構造をデータ化し、確実な安全性を担保した補強設計へとつなげます。

点群を用いた天井裏計測の事例

実際に点群計測を活用して天井裏の現況把握を効率化した事例を3つ紹介します。

事例①

事例①

大型ホールの天井裏改修工事に伴い、補強設計に必要な現況図面を作成するために天井裏計測が必要でしたが、対象となるホールは広大で形状も複雑なため、従来の目視やスケールによる調査では多くの時間と人員を要することが課題でした。
また、天井裏にはキャットウォークなどの設備があるものの、そこから確認できない構造物も多く、正確な現況把握が難しい状況でした。
そこで、地上型レーザースキャナ(TLS)を用いた点群計測を実施。キャットウォークからの計測だけで対象範囲の約92%の現況図を作成でき、従来であれば数か月を要する事前調査を約3週間で完了しました。
さらに点群データを取得したことで、寸法確認などの作業を現地に再訪することなく事務所内で行えるようになり、設計業務の効率化にもつながりました。

事例②

事例②

工場の新築工事において、竣工時の天井裏の状態を正確に記録した現況図面の作成が必要でした。
しかし、設備配管やダクトなどの施工が完了してから、天井パネルを設置するまでの期間は限られており、その短い期間内で現地作業を完了させる必要がありました。
そこで、地上型レーザースキャナ(TLS)を用いた点群計測を実施。短期間で効率よく計測作業を行うことで、工事の進捗に影響を与えることなく工期内で作業を完了しました。
取得した点群データから現況の3Dモデルを作成し、2D CAD図面として整理することで、精度の高い天井裏現況図の作成を実現。さらに、竣工時の点群データを取得しているため、将来的な設備更新や維持管理、災害発生時の変状確認などにも活用できるデータ資産として役立てることも可能です。

事例③

事例③

木造建築物の構造調査にあたり、既存図面が実際の構造と一致しているかを確認する目的で天井裏計測が実施されました。構造計算を行うためには、梁や柱の形状・太さなどを正確に把握し、図面へ正確に反映する必要があります。
しかし、対象の天井裏空間は広い一方で、キャットウォークのような設備が設置されておらず、従来の方法では効率的に調査を行うのが難しい状況でした。
そこで、ハンディ型レーザースキャナを用いた点群計測を実施。木造建築物のため木製の材料で足場を設置し、天井裏内を歩行しながら計測を行いました。基準位置を設定することで、狭小箇所も含めた高精度な点群データの取得が可能に。
取得した点群データから既存図面と同位置の断面図を作成することで、図面の確認や修正を短期間で実施でき、構造調査の効率化につながりました。

精度の高い天井補強設計は正確な3D計測から


特定天井は形状が複雑なケースが多く、不完全な現状把握のままでは、施工計画の修正や設計変更が相次ぎ、工期や費用の増大を招きかねません。精度の高い天井補強設計を実現するには、ブラックボックス化した天井裏を正確に可視化する必要があります。

クモノスコーポレーションでは、最新のスキャナ技術を中心に、環境に合わせた各種機材を組み合わせ、死角のない点群データを構築します。精密なデータを基にシミュレーションを行うことで、手戻りを最小限に抑え、全体のコスト最適化も実現可能です。

天井の安全対策や補強設計にお悩みの方は、ぜひ弊社へご相談ください。最新の計測ソリューションで、確かな安心とスムーズな施工を支援いたします。